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家系図の不思議

松崎整道居士 講演

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三 墓と家運の盛衰

本家分家は各先祖の祭祀形式を異にす

ただ、本家と分家とはその祀り方が異なるのであります。 本家はその家を相続するのでありますから石塔を建てて祀れますが、 分家は相続できないから石塔は建てられない。 そこで塔婆をもってこれをおまつりするのであります。 あなたは息子を単に自分だけのもののようにお考えですが、 相続となる息子はすなわち将来あなたの家の根となる一人でありますから、 その根の培養される墓所がなくては育ちませんし、また居られません。 そうすると家出の事情はたとえ道楽が原因であれ、何であれその因縁は墓所がないからのことだから、 まず墓所を求めてそこに木塔婆を建てて、ご先祖及び両親を祀り、供養なされ」と申したらはじめて納得されまして、まもなく墓地をもとめられ、先祖祀りをされました。
するとこれもまた不思議にも四五年間も寄りつかなかったその息子が、 親戚のところまで戻ってまいり、長く家を空け両親始め親戚に心配かけたことをことごとく悔悟され、 両親に詫び言の扱いを申し出でました。
両親の方では、それを待ちかねていたのですから何の支障もまた面倒もなく、 納まって家に帰られ、今ではすこぶる堅気となり、両親とも親しみて家内和合し、最も平和に暮らしております。
このようなわけでお墓は相続のものであり、またその家の根であるということもうかがい知らされるのであります。

分家を出す因縁

ここに分家の話が出ましたから、この分家のことにつき私が研究したところによりますと、 面白い事実が現れましたからそれをお話いたします。 分家を出す事情の根本とも言うことはすなわち、 むかし血統を尊ぶところの思想から胚胎していることはどなたも承知もことですが、 ここに民間における普通一般の家庭の事情では、例えば子どもが二人しかいない、 一人が相続し、あとの一人を世間並みに嫁なり婿なりに出してしまうのは誠に寂しいから、 女なら婿を迎え、男なら嫁をめとって分家さすとか、また沢山の子どもがあればあるで、 これを相続人一人残してほかは皆出してしまうのは同じく寂しいから、 ひとりふたりは嫁なり婿なりとって分家をするというのが多いようであります。
事情が何であれ、分家を出すという因縁の元はその家には、三代か四代の間において、 その家へ婿なり嫁なりに来た人の実家が必ず絶えているのであります。 それがなければ事情の如何を問わず、分家というものは出てまいらんのが不思議です。 分家というものにつき、かなり沢山の資料を集めこれを調べましたが、この数を外れません。

分家の永続せざる理由

しかし、出す方も出るほうも、このような因縁を知りませんから、 財産のことばかりで分家して、多くは前の例と同じく、墓をもって分家しませんから、 その家に根がないので、長く続くのが少ないようであります。 もし、分家が長く続いておれば、本家の方がつぶれるか、または絶えております。
中には、嫁に来た母の里が、絶えているとか、養子に来た父の実家がつぶれているからとかで、 子供にそれらの家を相続させるものもあります。 これらは、みなその家の絶えた家の仏を持っているわけですが、あまりよくその祀りをしない方が多いようで、 結果はその家の永続が出来ない方が多いようです。

一大の高名者、成功者の永続せざる原因

それから、よく一代に名を成し、財産を作る人がありますが、 その名声や財産をきちんと後世子孫にまで伝える人は誠に暁の星の如く、まれなようです。
名誉と財産は代々累代で築き上げたものは手堅いが、一代或いは一時にできたのは、 誠に槿花一朝の栄で、長持ちいたしません。なぜ、永続しないのでしょうか。
これもやはり、根がないためで、すなわち完全なお墓持っていないからだということを断言いたします。
これについては少し例を述べてみましょう。

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